子どもの出生時に父親の年齢が10代の場合、精子の突然変異が原因で子どもに健康問題が生じる可能性が高まるとする研究結果が18日、発表された。

 これまでの研究では父親の年齢が10代の場合、絶対的な危険度は低いが、父親が20〜35歳の場合と比較して、自閉症や統合失調症、二分脊椎症といった健康障害のある子どもや、知能指数の低い子どもが生まれる可能性が高いことが分かっていた。

 英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)のピーター・フォースター(Peter Forster)教授の率いる研究チームは今回、ドイツ、オーストリア、中東およびアフリカの2万4000人以上の両親を対象にDNA分析を行った。母親の最年少は10.7歳で、最年長は52.1歳。父親の最年少は12.1歳で、最年長は70.1歳だった。

 研究チームによると、10代男性の精子細胞は、10代女性の卵細胞に比べて6倍の突然変異があった。また精子細胞の突然変異は、10代男性の方が20代男性よりも30%多かった。

 今回の研究では、出生時に父親が10代だった子どもたちの健康状態に関する調査は実施しなかったものの、フォースター教授は、これまでに判明している子どもたちの健康問題について説明を提供する強力な結果だと述べている。

 10代男性の精子細胞が突然変異する原因は今のところ不明だが、同教授は、10代男性の精子細胞は変異性が高いことが一因だと考えられるとしている。ただし、この結果を受けて「パニックになる必要はない」という。一般的な先天異常の発生率は1.5%程度とされているが、10代男性の精子細胞が突然変異する確率が20代男性よりも30%高いという数字をこれに置き換えると、「10代の父親の子どもにおける先天異常の発生率は約2%」だという。

 一方、ここ数年の研究では、45歳以上の父親の精子は質が低下する証拠が示されている。

 米国医師会(American Medical Association、AMA)の精神医学専門誌「JAMAサイキアトリー(JAMA Psychiatry)」に掲載された昨年2月の論文によると、出生時に父親が45歳以上だった子どもたちが双極性障害を発症する確率は、父親が20〜24歳の時に生まれた子どもたちの25倍、注意欠陥多動性障害(ADHD)は13倍だった。

 こうした結果を受けてフォスター教授は、父親になるのに最適な年齢は生物学的には「20〜35歳」ということになると述べる一方、「父親の年齢が高くなっても、高まるリスクはわずかだ」と説明している。(c)AFP




引用元:
「10代で父親」は精子の突然変異リスク高まる、先天異常の一因か(AFPBB News‎ )