乳がんの過半数を占める「ホルモン感受性乳がん」。このタイプの乳がんの発症リスクに関与するDNA配列が、新たに2つ発見された。

 英国がん研究所を中心とした研究グループが、遺伝学の国際誌ヒューマン・モレキュラー・ジェネティクス誌で2015年2月4日に報告した。

乳がんに関連する新たなSNPを探索

 人間のゲノムDNAの30億のATGCの並び順は全員同じではない。300〜1000個に1個の割合で、ポツポツと異なっている。この違いを「一塩基多型(SNP)」と言う。SNPにはそれぞれ「rs番号」という通し番号がつけられており、その中に一人一人の個性を決めるものや、病気の発症リスクを決めるものなどが含まれている。

 以前、この研究グループは、染色体の「9q31.2」という部分にあるSNP「rs865686」が、ホルモン感受性乳がんの発症リスクに関与すると発見し、報告した。

 染色体の「9q31.2」という部分には、まだ他にも多くのSNPが存在する。今回研究グループは、「9q31.2」に存在する「rs865686」以外のSNPで、ホルモン感受性乳がんの発症リスクに関与するものがあるかどうか探索した。

大勢の乳がんの人の遺伝子配列データを用いた検証

 まず、合計61の研究から、欧州の約4万3000人、アジアの約6000人分の乳がんの人のDNA配列データを集めた。乳がんでない人のDNA配列データも同じ人数分集めた。そして「高精度マッピング解析」という方法で、「9q31.2」の中に、ホルモン感受性乳がんの発症リスクに関与する新たなSNPがあるか探した。

 前回見つけた「rs865686」の周辺のDNA配列領域は、ごっそりまとめてホルモン感受性乳がんに関連していると分かっており、そこに含まれるSNPは全て、リスクに関連する「クラスターSNP」としてひとくくりにされている。まずはそのクラスターの中で、「rs676256」が、欧州の人々の乳がんの発症リスクに最も強く関連していると分かった。

新たに2つのリスクSNPを発見

 さらに今回研究グループは、クラスター以外の独立した乳がん発症リスク関連SNP、「rs10816625」と「rs13294895」の2つを新たに見つけた。ただし、アジアの人々では「rs10816625」の方だけが乳がんのリスクと関連していた。

 次に、これら2つのSNPが、なぜ乳がんの発症リスクに関与しているのかを、乳がんの細胞で実験して解析した。

 すると、2つのSNPは、いずれもホルモン感受性乳がんに関わる遺伝子の働きを高める「エンハンサー領域」という部分に存在していた。このSNP配列によっては、「ERα」「FOXA1」「GATA-3」がエンハンサー領域にくっつきやすくなり、その結果乳がんの発症リスクが高まっていたのだ。

 研究グループは、今回の研究で、「高精度マッピング」による解析が、病気のリスクに関連するSNPを、人種が違ってもまとめて一度に発見するために有力であると示せたとしている。


引用元:
ホルモン感受性乳がん、発症リスクに関連するDNA配列を新たに2つ発見(Medエッジ)