厚生労働省は、百七十億円もの公費を投じながら有識者検討会から「費用対効果が低い」と指摘された、ひとり親家庭のための在宅就業支援を見直すことを決めた。二〇一五年度からは自宅でできる仕事の受注を支援し、報酬に応じて補助金を支出する形に改め、事業費を大幅に縮小する。

 厚労省は「父母らの収入を定期的に報告してもらい、実績を補助額に反映させることで、支援に実効性を持たせたい」としている。

 これまでの事業は、自治体が公募で選んだ人材派遣会社やIT企業、NPO法人などに委託。別の地元企業から受注したテープ起こしなどの仕事を、シングルマザーらに技術訓練として紹介していた。

 事業費は一三年度までの五年間で総額百七十億円に上ったが、厚労省の有識者検討会による検証で、在宅の仕事に就いた人は四分の一にとどまり、うち六割が平均月収五千円以下だったことが判明。厚労省や自治体が委託先に丸投げし、効果をチェックしなかったことが原因とみられる。

 一五年度からは委託先の企業の社員らが在宅就業コーディネーター(仮称)として、ほかの企業から仕事を受注したり、契約やスケジュール管理のノウハウを教えたりする。父母らが仕事で得た報酬に応じ、コーディネーターらの人件費などを補助。一五年度予算案に一億六千万円を計上した。



引用元:
ひとり親家庭の在宅就業縮小へ 支援事業効果低く(東京新聞)