夫婦共働きやひとり親家庭の会社員らを対象に、国がベビーシッター利用料の一部を補助する「育児支援割引券」で、利用者の所得制限や企業の負担金が設けられることになった。四月から国の子育て支援が新制度に変更されるのに伴い、財源が不足するためだ。子育て支援の充実と逆行する事態に、利用者に不安が広がっている。 (福沢英里)

 国は一九九四年度から、利用申請した民間企業の従業員や大学職員に、ベビーシッターの利用一回あたり千七百円を補助している。三月末まで事業を運営する一般財団法人・こども未来財団(東京都港区)によると、二〇一四年度は千三百十七社を通して、約十五万枚の「育児支援割引券」を発行。ベビーシッター業者が都市部に集中し、利用者が限られる傾向はあるものの、割引券を使える業者は全国に八十二あり、年約三千人が利用している。

◆所得制限
 厚生労働省によると、企業が負担する児童手当拠出金のうち、年約二億円で運営してきた。だが、制度変更でベビーシッター補助に使えなくなるため、一五年度は一般財源から約八千万円をあてる。不足分は割引の千七百円のうち、大企業なら三分の二程度、従業員千人未満の中小企業なら二分の一程度を負担する。さらに児童手当の支給基準に合わせて所得制限をする。例えば共働きで子ども一人の場合、夫婦いずれかの年収が約八百七十六万円以上だと対象外となる。

 名古屋市内の女性会社員(35)は週三回、仕事で帰宅が遅くなるときなどにベビーシッターを利用してきた。費用は多い時で月四万円を超えるが、割引券で約二万円減額される。病児保育施設が不足する同市では、子どもの病気時はシッター頼み。病児だと一時間二千円以上と、通常より割高だが仕事を急に休めないことも多い。「シッターさんの助けがなければ、仕事を続けるのは難しい」と、今後も使えるのか気をもむ。

 東京都内の会社員伊藤歩美さん(37)は昨年一月、時短勤務からフルタイム勤務に戻した。残業もあり、長女(3つ)の保育園の迎えに間に合わない場合も考え、割引券が使えるよう会社と交渉。半年以上かかって、昨秋から使えるようになったばかりだった。「会社に負担金が発生すると、理解を得るのは難しいかもしれない」と不安がる。

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 経団連の一三年度の調査によると、企業の福利厚生費のうち、育児関連の費用は前年度比で約一・五倍の増。企業の福利厚生業務を代行運営するベネフィット・ワン(東京都渋谷区)のサービス開発部長、足立紀章さんは「五年ほど前から育児サービス拡充のニーズが増え、福利厚生における育児支援の比重は大きくなっている。制度変更の影響は少なくない」という。

 「保育園を考える親の会」代表の普光院(ふこういん)亜紀さんは「シッターは病児でも臨機応変に対応できるなど、一定のニーズがある。負担金を理由に導入をやめる企業が出ると、子育て支援充実をうたう新制度と逆行する。普及のため、企業が導入しやすい制度にしてほしい」と話す。

 <児童手当拠出金と育児支援割引券> 厚生年金に加入する企業が、法律で負担を義務付けられている。児童手当金の財源となるほか、放課後児童クラブや保育所などの延長保育事業に使われる。育児支援割引券も、これを財源としてきた。利用対象は会社員らのため、申し込みや管理は事業主を通して行われる。

引用元:
<どうなるの?子育て支援>ベビーシッター補助 財源減(東京新聞)