がんを抑制する「BECN1」という遺伝子が、乳がんの悪性度と関係している可能性がこのたび示されている。


3000人分ほどのデータベース分析


 テキサス大学サウスウエスタン・メディカルセンターの研究グループが、生物医学研究に関する専門誌Eバイオ・メディシンのオンライン版で2015年1月28日に報告した。

 がん抑制遺伝子である「BRCA1」と「BECN1(Beclin 1)」はどちらも乳がんのなりやすさに関わる遺伝子座「17q21」と呼ばれる場所の近くに存在する。しばしば同時に喪失する。この2つの遺伝子について、特別な理由もなく発生した乳がんを対象として、この遺伝子に基づいてタンパク質が作られている証拠になる「mRNA」の表現パターンを2つの大きなデータベースに基づいて調べた。

 研究グループが用いたデータベースは、「キャンサー・ゲノム・アトラス(TCGA)」と「モレキュラ−・タクソノミー・ブレスト・キャンサー・インターナショナル・コンソーシアム(METABRIC)」の2つ。

 TCGAは登録数1067人分のデータ、METABRICは登録数1992人分のデータとなっている。


遺伝性と特に原因の不明なものでは異なる


 結果として、どちらのデータベースにおいても、BECN1に基づくタンパク質の減少傾向は、治療の難しい悪性度の高いがんで目立っていた。

 ホルモンの影響を受けにくく、「HER2」という増殖に関わるタンパク質だけは持つ乳がん、またはほとんどホルモンの影響もHER2も持たない基底細胞様乳がんで確認できた。一方で、治療が比較的に効きやすい、ホルモンの影響を受けやすいタイプである「ルミナルA・B」のタイプの乳管がんでは減少は確認できなかった。BECN1低発現率はがんを抑制する「TP53」の突然変異、進行がんとも大きな関わりがあった。

 一方で、遺伝性の乳がんの原因として知られているBRCA1に基づくタンパク質があまり作られないことは、HER2陽性がん、基底細胞様がん、TP53変異、腫瘍のステージとは関係がなかった。

 「BECN1」でのmRNAの減少が、治療が難しいがんと関係している可能性がありそうだ。



引用元:
乳がんの悪性度に関係する遺伝子を特定(Medエッジ)