■増加傾向、進む給食の対策

 調べてみると、食物アレルギーの子どもはやはり増えています。文部科学省の全国調査によると、小学生の食物アレルギーの有病率は2004年に2・8%でしたが、13年には4・5%に上がっています。中学生も2・6%から4・7%に、高校生も1・9%から4%にアップしました。

 ただ、なぜ増えているかは解明されていません。食品添加物や野菜や果物に使われる農薬の影響だとも言われていますが、データ的に裏付けされているわけではありません。

 12年12月に起こった不幸な事故は、食物アレルギーに対する世間の関心を高めました。東京都調布市で、乳製品にアレルギーがあった小学5年の女児が、粉チーズが入ったチヂミを誤って食べ、ショック症状を起こして死亡しました。

 女児は最初、牛乳アレルギー児のための粉チーズ抜きのチヂミを食べましたが、確認ミスが重なり、おかわりで粉チーズ入りを食べてしまいました。強いアレルギー反応時にショック症状などを抑える「エピペン」という注射薬を打つタイミングも遅れました。文科省によると、学校給食の食物アレルギーの死亡事故は1988年以来でした。

 死亡に至らない誤食事故がどれほど起きているかの統計はありません。食物アレルギーの診療に30年以上取り組んできた小児科医の伊藤節子・同志社女子大教授は「実は誤食でアレルギー症状が出ることは学校給食では日常茶飯事です。ただ、献立や配膳の工夫など、事故を起こさないための仕組みづくりは確実に進んでいます」と言います。アレルギー物質の表示制度も普及してきました。学校関係者の食物アレルギーに対する意識をさらに高め、ミスをなくしていくことが必要です。

 (科学医療部・石川雅彦)


引用元:
食物アレルギー患者、増えているの?(朝日新聞)