小児がんの子どもが抗がん剤などの治療で、将来、不妊症になり子どもを持てなくなってしまうケースがある問題について知ってもらおうと、8日、大阪市でシンポジウムが開かれました。

抗がん剤や放射線による治療を受けると精巣や卵巣が傷つき不妊症になるおそれがありますが、小児がんの場合、子どもがまだ小さいこともあって、その危険性が家族にも十分説明されていないことが指摘されています。
大阪市内で開かれたシンポジウムでは、まず、がんと妊娠の問題に詳しい聖マリアンナ医科大学の鈴木直教授が、小児がんだった子どもを成人後に検査すると、卵巣などの機能が低下し始め、早めに妊娠しないと子どもを持てなくなるケースが見られるが、医療現場では、そうした実態さえ、まだ十分認識されていないと指摘しました。
また、がんの種類によっては治療前に卵巣を凍結保存しておき、妊娠する能力を保てる可能性があることなどが紹介されたほか、不妊になっていることを、いつ、どのように伝えるのか小児医療の現場で十分な心理的なサポートができていないなどの課題も報告されました。
聖マリアンナ医科大学の鈴木教授は「希望を持って、がんと闘うためには、がんの治療をしっかりやると同時に、将来、子どもが持てるよう配慮も必要だ。専門家の間でもようやく議論が始まったところで、課題を共有できたことは大きい」と話していました。


引用元:
小児がん治療の不妊問題でシンポジウム(NHKニュースWEB)