妊娠の可能な年齢の女性で問題になる病気として、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)がある。卵巣の中にたくさんの卵胞ができてうまく排卵できない状態のことを言う。

 この病気を持った女性が、複数の病気や事故のリスクにさらされている実態が分かった。婦人科系の問題につながりやすいのは知られていたが、メタボ関係の病気をはじめ、ぜんそく、精神的な病気、さらには交通事故までが関係している。

 オーストラリアの調査だが、影響の幅広さは日本でこの病気に悩む人にも無縁ではなさそうだ。対策が必要だろう。

出産可能な年齢の女性で問題に
 西オーストラリア大学の研究グループが、米国内分泌学会の機関誌であり、ホルモンの機能などを扱う国際誌、ジャーナル・オブ・クリニカル・エンドクリノロジー・アンド・メタボリズム誌のオンライン版で 2014年12月22日に報告したものだ。

 PCOSの略称で知られる多嚢胞性卵巣症候群は、出産が可能な年齢の女性で多く見られるホルモンの病気だ。

 研究グループは、西オーストラリアで1997年から2011年に多嚢胞性卵巣症候群で病院にかかった15歳以上の女性2566人を対象として調査。比較対照として、選挙人名簿に基づいて同年齢の女性2万5660人を選んで、参加者が平均35.8歳になるまでの入院記録を調べた。

複数の病気でリスクが高い
 結果として、複数の病気で、病気になっていない人と比べてリスクが高まっている実態が分かった。

流産11.1%対6.1%

月経過多14.1%対3.6%

不妊治療40.9%対4.6%

体外受精17.2%対2.0%

肥満16.0%対3.7%

遅発性糖尿病12.5%対3.8%

高血圧3.8%対0.7%

虚血性心疾患0.8%対0.2%

脳血管疾患0.6%対0.2%

動脈の疾患0.5%対0.2%

静脈の疾患10.4%対5.6%

ぜんそく10.6%対4.5%

ストレスおよび不安14.0%対5.9%

自傷7.2%対2.9%

抑うつ症9.8%対4.3%

薬物関連の問題(合法・非合法を含む)8.8%対4.5%

交通事故5.2%対3.8%

 流産、子宮外妊娠、月経不順や子宮内膜症など産婦人科の問題だけではない。心臓病、糖尿病、ぜんそく、筋骨格の障害、抑うつ症などの病気にもなりやすい。入院して治療する率も多嚢胞性卵巣症候群ではない女性の2倍以上に上った。

 死亡率にも差が見られており、一般の女性が0.4%であるのに対し、多嚢胞性卵巣症候群があると女性は0.7%だった。

40代以降がわずか4分の1にかかわらず
 調査対象には40歳以上の女性がわずか25%しか含まれていなかった。年齢が上がれば、入院率はさらに高くなると予想される。

 米国内分泌学会の診療ガイドラインでは、多嚢胞性卵巣症候群と診断された女性に対しては、心臓病や糖尿病のリスクについてのスクリーニングを勧めている。

 多嚢胞性卵巣症候群は女性の健康に重大な影響があると見られる。「ふさわしい医療対応が必要」と研究グループは強調している。

 日本でも不妊の原因として重要になってきているが、産婦人科にとどまらない関心が求められそうだ。



引用元:
産婦人科にとどまらない問題を抱える病気「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」(Medエッジ)