【千歳】市は新年度から児童虐待防止の取り組みを強化する。2013年度に市内の相談件数が過去最多の89件となったことを受け、子育てに特に孤立感や不安を感じていると市が判断した親に対し、無償の家事支援を実施。叱り方などの市民向けの子育てセミナーも開催する。

 市内の児童虐待の相談件数は、09年度の38件から毎年増加している。13年度は、前年度比約1・5倍。内容は、暴言や夫婦間の暴力を目撃するなどの心理的虐待が58・4%で最も多く、身体的虐待が24・7%、ネグレクト(育児放棄)が16・9%と続いた。

 市は増加要因について、警察など関係機関との連携が進み、通報が増えたことがある一方、核家族化などで周囲に子育てを相談できる人が減り、養育者が孤立しがちな現状を指摘。また「千歳では相談件数こそ少ないものの、すぐに対応が必要な重い事例が多い」(市担当者)といい、相談を受けた場合は市職員などが各家庭を訪問し、一時保護などの対応をとっている。

 新年度に始まる家事支援は、市の家庭児童相談員などによる定期訪問で特に支援が必要とされた家庭が対象。市が委託する民間福祉サービス事業者が3カ月間をめどに週2回、1時間程度で授乳や湯あみなどを手伝い、各家庭を見守る。

 また米国発祥の子育て法で、怒鳴るなど暴力的な手法を使わずに子供をしつける「コモンセンス・ペアレンティング」(CSP)の市民向けセミナーも開催予定。市子育て推進課は「親を責めるのではなく、なぜ虐待してしまうのかを一緒に考える必要がある。家庭環境に合わせ、きめ細やかに支援していきたい」としている。(斉藤千絵)



引用元:
虐待防止へ育児支援 千歳市、無償で授乳 昨年度の市内相談件数最多(北海道新聞)