引きこもりに苦しむ本人や家族を支援しようと、「県ひきこもり家族会」が11日、福井市で発足会を開く。県内には少なくとも5千人が引きこもっていると考えられており、発足に向けて準備してきた福井市の近藤茂樹さん(67)は「会の活動を通じて悩みを語り合い、情報を共有したい」と参加を呼びかけている。
長男が中学3年の時に引きこもりとなった県内の50代後半の男性の場合、長男は学校であったケンカを機に登校しなくなり、自室にこもり始めた。ゲームを夜通しして起きるのは昼。男性とはすれ違いの生活となり、会話もなくなった。
高校受験が近づくにつれて男性の焦りもいや増した。「何で学校にいかんのや」と怒ると、「何で分からんのや」と泣かれた。
男性は、複数の先生を訪ね回った。妻とカウンセリングも受けた。回答は無かった。解決の糸口が見えない日々。事態は進まないのに時間だけが進んだ。
それから約10年。この間に長男は不登校経験者が通う高校で寮生活を送り、卒業後は予備校にも行ったが、大学へ進めなかった。20代前半となった今は短時間アルバイトに自宅から通う。週5日のうち1日は寝坊で欠勤する「後遺症」に苦しんでいる。
男性は今も悔やんでいる。自分の転勤に合わせて転校を繰りかえさせたのが悪かったのか。別の中学へ転校させた方がよかったのか。教育委員会に駆けこめばよかったのか。「いま思えば」「こうしていれば」と振り返りと後悔とを繰りかえしている。「私が定年となって収入が途絶えたとき、長男は自立できるだろうか」とも案じる。職業訓練に通わせたいが、どうすれば長男が通いたくなるのかも分からない。
男性は「同じ悩みを持つ人に会いたい。自分の体験を紹介したい」と話し、今回の家族会発足に期待を寄せている。
■支援相談士「高齢化目立つ」
引きこもりに悩む本人や家族を支える「ひきこもり支援相談士」の資格を持つ近藤さんに話を聞いた。
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内閣府の推計だと、趣味時だけ外出する「準ひきこもり」から、自室からほとんどでない「狭義のひきこもり」まで全国に約70万人いて、県内は5千〜7千人いると考えられます。
特徴は高齢化です。平均年齢は33歳で毎年上昇しています。発足予定の家族会に関する問い合わせでも、43歳の男性からや40代の子どもを持つ母親からの「参加に年齢制限はありませんか」というのが目立ちます。引きこもりはいじめや進学・就職の失敗など思春期に多く起きているので長期化しているとも言えます。
近年は社会の認知が進みましたが、かつては「なまけているだけ」「親の教育が悪い」と生き方そのものが認められませんでした。だから私が支援している親も「私のあの時の指導が……」と自責の念に苦しんでいます。そうではなくて、引きこもりになるのはいろんな要因があるのです。
社会心理学に「帰属の誤り」という言葉があります。道路の穴に落ちた人は「穴があったから落ちた」と考える。周りの人は「そそっかしいから落ちた」と考える。立場によって、とらえ方の違いが出てくるわけです。両方を考えて対策を考える必要があります。
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発足会は午後1時半から福井市田原1丁目のフェニックスプラザ402号室で。定員60人、無料。問い合わせは近藤さん(090・9442・5859)。(下地毅)
引用元:
福井)県ひきこもり家族会、発足へ 11日に福井で(朝日新聞)