血液中に含まれる20種類のアミノ酸の濃度を測定・解析し、そのバランスの変化から、がんの可能性を探る検査を導入する施設が増えている。1回約5ミリリットルの採血だけで複数のがんを同時に調べられる簡便さが特長で、受診者はリスクが高いと判定されたがんに絞って次のステップである精密検査を受けられる。全国に先駆け2011年秋に導入した三井記念病院 (東京)で、筆者(54)も検査を受けてみた。
▽9万人が受診
同病院の総合健診センターを受診したのは昨年9月下旬のことだった。受け付けを済ませ、待合室で約10分。名前を呼ばれて採血してもらう。たったそれだけ。病院到着からわずか30分ほどで、すべてが終わった。
この検査は「アミノインデックスがんリスクスクリーニング(AICS)」と呼ばれる。味の素が開発した技術を臨床応用したもので、現在、男性は胃、肺、大腸、前立腺の4種類、女性は胃、肺、大腸、乳房の4種類のがんに加え、個別には判定できないものの子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんのいずれかであるリスクを評価できる。
味の素 によると、実施する医療機関は現在全国に約900。年を追うごとに増えている。受診者数は延べ約9万人に達した。今春には新たに膵臓がんも加わる見込みで、メタボなどがん以外での実施も検討されている。
ほんの軽い気持ちで受けた検査。だが、半月ほどたって自宅に届いた結果報告書は、ちょっと気になるものだった。
▽ランクCの意味
健康な人では血中アミノ酸の濃度比率はほぼ一定に保たれているが、臓器に異常が起きると比率が微妙に変わる。変化のパターンは臓器や病気によってそれぞれ特徴があるため、がんのリスク判定に利用できる。
リスクは0・0〜10・0までの数値で示され、さらにリスクの低い方からランクA(0・0〜4・9)、ランクB(5・0〜7・9)、ランクC(8・0〜10・0)の3段階に分類される。
筆者は胃と肺がランクA、前立腺がランクB。問題は大腸だ。数値が8・4でランクCだった。
がんの種類で差があるが、ランクCのリスクは一般の4・0〜11・6倍まで高くなる。大腸は8・2倍。一般の有病率が千人に1人だとすれば、122人中1人ががんという計算になる。
AICSは、がんの有無を直接調べる検査ではない。リスクの高い人を見つけ出し、精密検査に結びつけるのが役割。ランクAでもがんでないとは言い切れないし、逆にランクCでも、必ずしもがんとは限らない。
▽定期的に検査を
とはいえ「リスクが高い」と言われれば不安になる。早速、総合健診センター特任顧問の山門実医師の勧めに従い、12月中旬、大腸内視鏡検査を受けた。結果は「異常所見なし」。がんも、その前段階のポリープも見つからなかった。
だが山門さんは言う。「たとえがんが見つからなくても、ランクCの人は定期的に精密検査を受けてほしい。画像で発見できない小さな病変が今もある可能性はあるし、現在の体質が、がんになりやすい状態であるとも言える。食生活や運動などの生活習慣を見直し、がんに対する免疫力を高めることも大切です」
日本人の2人に1人ががんになる時代。がんの克服には、多くの人が受診できる簡便で体の負担が少ない検査が欠かせない。現在、AICS以外にも、さまざまな病院や研究機関が新たな検査法開発に取り組んでいる。
ちなみにAICSに健康保険は適用されず、検査自体の料金は2万円弱という施設が多い。(共同通信 赤坂達也)
引用元:
採血だけでがんリスク評価(47NEWS )