中国は女子が増えることを望んでいる。


 過去数十年にわたって男子の出生が多かった中国の衛生保健当局者は、カップルが生まれてくる赤ちゃんの性別を決めるのを難しくすることで、男女間の不均衡を是正しようとしている。


 中国国家衛生計画出産委員会(NHFPC)はこのほど発表した声明で、胎児の性別テストのためにその血液を海外に送ろうとするカップルを支援するエージェントや組織を取り締まることを明らかにした。


 中国では胎児の性別判断テストは違法だが、ここ数年間、これを行う地下ネットワークが生まれ、エージェントが戸別訪問して胎児の血液を集め、海外に送っている。


 声明は、中国の男女出生比率の不均衡は世界的に見て最も古く、最も深刻だとし、海外での違法テストがこの問題を悪化させていると指摘。今後このネットワークを「攻撃し防止するための措置を講じる」としている。


 中国の文化は歴史的に息子を重視し、息子は伝統的に土地を相続して親とともに働き、親の面倒を見る。政府が人口を抑制するために一人っ子政策を取った1980年代、男子偏重の傾向が強まった。多くのカップルは息子との将来を確実なものにするために、超音波検査で胎児が女であることが分かるとこれを堕胎した。


 同国は2001年、性別テストを禁じる法律を施行。NHFPCによると、偏った男女比率は改善されて、04年に男121.2、女100だった比率は13年には117.6対100となった。


 男子偏重は現在、特に都市部で変化している。家計面での負担と見られていた女子は以前よりも教育、就職の機会が増え、自活したり、親を養ったりしている。一部のカップルは今ではカネのかかる性と見られる息子を持つことを恐れている。現代的な中間層の風習では、息子が嫁を見つけ、自分たちの家庭を持てるように、息子にアパートを買ってやる必要があるのだ。


 それでも胎児の性別判断テストは続いている。国営新華社通信によると、当局は昨年12月、同年に違法なテストおよび性差に関連した違法な堕胎、合わせて6833件を取り締まったと発表した。


 NHFPCは出産での正常な男女比率は男107、女100程度だとしている。米中央情報局(CIA)のワールド・ファクトブックによると、米国と英国の比率は105対100だという。


引用元:
中国、胎児血の海外送付を抑制 男女間の不均衡是正(WSJ)