乳がんの攻撃的サブタイプで特に活発な遺伝子が特定された。この腫瘍タイプの治療に有効かもしれない。

 英ウエルカム・トラスト・サンガー・インスティチュートのリュウ・ペンタオ氏らの研究グループが、有力医学誌ネイチャー・コミュニケーション誌で2015年1月9日に報告している。

がんを抑え込むポイントは?

 乳がんにもさまざまなタイプがあるが、受容体の有無で分類するのは重要だ。女性ホルモンを受け止める「エストロゲン受容体」のほか、細胞の増殖の信号を受け取る「EGF受容体」や「HER2受容体」は薬のターゲットとして利用されるからだ。

 一方で、乳がんになる人の約5人に1人はこの3つの受容体のいずれも持たない。「トリプルネガティブ」と呼ばれるタイプの乳がんで、薬が効きにくいので問題になる。

 このため3つの受容体のほかにも乳がんの増殖を左右するような分子の探索が盛んだ。別のルートでがんを押さえ込めるかもしれないからだ。

 研究グループは乳がんになった約3000人を対象として、がんの大元になる幹細胞やがんの組織に影響を及ぼす遺伝子の変化を分析した。

全く新しい増殖に影響する遺伝子

 その結果、活発なBCL11A遺伝子が、10人のうち8人という割合で見つかった。がんのグレードが進行するほど、この遺伝子が活発になっていた。

 人間のトリプルネガティブの乳がん細胞でBCL11Aの活動を弱めると、乳がん細胞はがん細胞としての特徴をいくつか失った。

 ネズミの試験では発がん性が低くなったマウスにおいてBCL11Aを不活発にすると、乳腺にがんができなかった。BCL11Aを不活発にしなかった場合にはがんができた。

 BCL11Aを不活発にする治療は有望であるかもしれない。



文献情報

Khaled WT et al.BCL11A is a triple-negative breast cancer gene with critical functions in stem and progenitor cells.Nat Commun. 2015;6:5987.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25574598


引用元:
乳がんの治療につながるか、増殖左右する新たな遺伝子「BCL11A」()