インフルエンザの流行が例年より早く「警報レベル」を超え、ピークを迎えている。大陸から寒気が流れ込み、寒さも厳しい。手洗いやうがいを励行し十分な睡眠と栄養補給、適度な運動など健康管理を徹底したい。

 ワクチンの接種も忘れてはならない。たとえ接種後に発症しても重症化を防ぐ効果がある。

 こうした一人一人の予防が大流行を抑え、高齢者や幼児ら健康弱者の命を守ると同時に社会機能のまひを防ぐことができる。このことを強く自覚してほしい。

 例年、年明けに学校で流行し、家庭、職場へと感染が急拡大していく。国立感染症研究所によると今年は1月5〜11日までの1週間で全国平均の1医療機関あたりの患者数が大流行の疑われる警報レベル(30人)を超え、翌週には37・0人を記録した。厚生労働省が警戒を呼びかけている。

 38度以上の高熱を出し、のどの痛みや頭痛、筋肉痛などの症状が続く。感染者のせきでウイルスを含んだ唾液や鼻水が飛び散って感染する。感染者が使ったタオルや電車のつり革を介して接触感染することも多い。

 近年はタミフルなど抗インフルエンザウイルス薬がいくつか開発され、治療に大きな効果を上げている。しかし使い過ぎると、薬の効かない耐性ウイルスが生まれる。医療機関はその点に注意して薬を処方すべきだ。

 過去には大流行で2千人近い高齢者が命を落としたり、子供が脳症で亡くなったりするケースもあった。高血圧、高血糖、心臓病といった持病を持つ人もその持病を悪化しやすい。今シーズンも命を落とした患者が出ている。インフルエンザはいわゆるかぜとはまったく違う。決して侮ってはならない感染症だ。

 とくに感染が広まりやすい高齢者施設や病院での感染には注意したい。運輸、電気、ガス、通信設備などのインフラを担う人々が次々と倒れたりすれば、国民の生活はたちまち混乱してしまう。

 運悪く罹患(りかん)した場合は、人にうつさないように気を付けなければならない。学校や会社は必ず休むことだ。そのためには組織として普段から休みを取りやすい態勢や環境を整えておくべきだ。

 個人個人がしっかりと予防に努めることで流行は最小限に抑えられ、社会を守ることができる。


引用元:
インフルエンザ ひとりの注意が社会守る(産経新聞)