不妊治療で一般的な「体外受精」では、1個の「卵」を移植することでより安全な出産を実現できるという結果が日本から報告された。

 日本医科大学の林昌子氏らの研究グループが、オーストラリア系の国際医学誌であるインターナショナル・ジャーナル・オブ・メディカル・サイエンシーズ誌で2015年1月1日に報告している。

体外受精3.4%を分析
 体外受精は文字通り、体の外で精子と卵子を受精させる不妊治療だ。

 2007年と2008年に日本生殖医学会と日本産科婦人科学会は、体外受精で受精卵を作った後、細胞分裂した胚を1個だけを子宮内に移植する「単一胚移植」を勧めることを発表した。それまでは妊娠の確率を増やすといった目的から複数を戻す場合も珍しくなかった。

 研究グループによると、日本で行われる体外受精では、73%が単一胚移植と高い。

 研究グループは、単一胚移植を行うことが周産期の結果にどう影響しているかを検証した。

 日本産科婦人科学会の周産期データベースを、2001年から2010年にかけて検証。61万726人のうち体外受精によって妊娠したのは3.4%に当たる2万923人だった。

 周産期の結果を比べるため、この2万923人を単一胚移植が勧められる前の2004年から2005年に妊娠したグループと、勧められた後の2009年から2010年に妊娠したグループに分けて調べた。

「双子の割合が減る」
 体外受精によって妊娠した女性の割合は、2001年には1.3%、2010年には4.8%と増えていた。

 単一胚移植が行われたことで、双子を妊娠した女性の割合は2001年には33.9%、2010年には13%と減っていた。胚を多数戻すと、双子になる可能性が高くなる。出産時のリスクにつながると見られる。

 さらに、出産の際に母子のリスク減少につながる変化が確認できた。

 まず早産はほぼ半減、生まれたときの低体重も約6割減、新生児集中治療室への入院も3割減っていた

安全性が高まる
 しかし、双子になった場合に1つの胎盤を共有する「一絨毛膜性双胎」になる割合は2001年に1.6%、2010年に2.5%と増えていた。

 研究グループは、勧められているとおりに単一胚移植を行うことで、周産期の安全性が高まり、双子を妊娠することが少なくなると指摘する。

 かねて日本では単一胚移植が推奨されており、今後も同様な方針が重要になりそうだ。





引用元:
不妊治療、体外受精では1個の「卵」を戻せばよい、日本の学会の推奨、安全性を高める(Medエッジ‎)