母親が太り気味だと、子どもも太り気味になる。そういうことが分かっている。

 可能性の一つとして、母乳の中に食欲を抑え込むホルモンが多いことがあるかもしれない。

子供の将来の肥満リスクと関連?

 英国ロンドンのインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究グループは、その結果をオンライン科学誌であるプロスワン(PLoS One)誌で、2014年12月23日に報告した。

 母乳に含まれている食欲や代謝の調節に関わる8種類ホルモンの量との関係を検討している。過去の研究26件を対象としてい分献を調査している。

 8種類のホルモンとは、レプチン、アディポネクチン、インスリン、グレリン、レジスチン、オベスタチン、ペプチドYY、グルカゴン様ペプチド1。

 赤ちゃんの将来の肥満リスクと母親の肥満(BMI)の間に関連性があることが、これまでに知られている。

 母乳にはホルモンが含まれているが、赤ちゃんが成長後もこのホルモンの影響を受けている可能性を検討するために今回の研究が行われた。

「レプチン」が母乳に多い

 その結果、母親が太っていると、母乳に含まれている食欲と代謝を調節するホルモン「レプチン」の濃度が高くなるという関連性が認められた。

 レプチンは、食欲を抑えるホルモンだ。研究グループは何らかの影響があると見ている。一つの可能性としては、成長後にレプチンの効果に抵抗性を持っているというもの。

 一方で、影響についてはさまざまな可能性はある。まず、食欲を抑えるために子どもの単純に肥満を減らす可能性もあり得る。また、母親が肥満であるために、単純に成長する中で食べる量が多くなり、環境の影響から肥満になりやすくなるだけという可能性もある。

 いずれにせよ赤ちゃんのときに母乳から何らかの影響を受ける可能性はあるようだ。

人工乳の選択肢も?

 このほか脂肪を燃やすアディポネクチンについても肥満の母親の母乳には少ないという研究はあるようだ。

 今回の調査では他のホルモンについては母親のBMIとの関連性を示す有力な証拠は認められなかった。

 レプチンについては、母乳からの影響があるというところまでは分かっている。

 ホルモンについて気になるとすれば、人工乳を意識的に使うというのは選択肢としてあるのかもしれない。




引用元:
太りぎみの母親の母乳が子どもの肥満につながるか(Medエッジ)