出産直後に体調不良を訴える母親を支援しようと、「産後ケア」の動きが広がっている。民間団体の取り組みに加え、市町村も支援に力を入れ始めた。
バランスボールは赤ちゃんを抱きながらできる。人形を使って抱き方を指導する朴玲奈さん(左)=名古屋市中区
「病院に粉ミルクでの育児を勧められたが、母乳で育てたい」
名古屋市瑞穂区汐路町5丁目の住宅街。助産師の川上幸子さん(44)は、一軒家を借りた「ママサロンつむぎ」で、2012年8月から母親の悩みを聞いている。
「母乳が出ない」と悩む母親には、まず乳腺を開くマッサージ。赤ちゃんがのどにミルクを詰まらせないよう頭を支え、手首が腱鞘炎(けんしょうえん)にならないような抱っこの仕方を教える。疲れを癒やすオイルマッサージや、小型サウナもある。
川上さん自身、1998年に長男を出産した際、眠りが浅く、疲れの取れない日々が続いた。助産師だからと、他の母親に頼られるのが苦痛で、家に閉じこもりがちに。「誰かに『大丈夫だよ』と言ってもらいたかった」。そんな思いが相談所の設立につながった。
「子どもではなく、自分にお金をかけることに罪悪感を感じる母親が多い。気軽にケアを受けられる社会になって欲しい」と願う。
名古屋市中区大須2丁目の「スタジオ レイナパーク」には、産後の母親向けの運動教室がある。
「弾みながら足を伸ばして、閉じて、伸ばして」
バランスボールに乗って、下腹部周辺の筋肉に刺激を与える。妊娠、出産で開いた骨盤を戻すのが狙いだ。同市千種区の近藤めぐみさん(40)は昨年9月に出産してから、腰痛に悩んでいた。「体調もよくなり、一緒にレッスンするママたちと話すと気持ちが軽くなる」
講師の朴玲奈さん(39)も、2人の子どもを産んだ。「産後に太るのも眠れないのも、母親なら当たり前と言われた」と振り返る。「子育ては、つらいものと考える若い人が多いのでは。趣味やオシャレを楽しんで、出産前より元気に生活するママがもっと増えてほしい」と話す。(小川奈々)
■ケア拡充の自治体も 厚生労働省研究班の12年度の調査では、産後に育児を手助けするヘルパーを派遣する自治体は回答した786市町村中で100(13%)だったが、徐々に自治体の産後ケアの取り組みが広がっている。
千葉県浦安市は昨年10月から相談員「子育てケアマネジャー」や保健師が妊娠届の提出時全ての母親と面談し、ケアプランを作成している。今後、出産前後や1歳の誕生日前後にもプランを作る。市こども家庭課は「母親の悩みや孤立感を和らげ、切れ目なく支援したい」。
静岡県三島市は体調不良や育児不安があり、家族から支援を受けられない母子を対象に、市内の産婦人科医院で宿泊や日帰りのケアや育児相談が受けられる。
名古屋市では、家事や赤ちゃんの入浴介助などを手伝うヘルパーを派遣している。今年度、産後2カ月以内だった利用期間を、妊娠中から産後6カ月(双子などの多胎出産では1年)以内に拡充した。料金は1時間805円(生活保護世帯などは無料)。
三島市のように、助産所などでケアを受けられる新規事業も計画。来年度からの「子どもに関する総合計画」案に盛り込んだ。
引用元:
産後ママ、一人で悩まずに 体調・不安相談、広がる支援(朝日新聞アピタル)