女性ホルモンに関係しない乳がんの場合、食事中の脂肪を抑えた食生活を送ることで死亡率が下がることが分かった。

 特に既存の治療が効きにくい「トリプルネガティブ」の人に有効である可能性がある。無視できない結果と言えそうだ。

効果は女性ホルモンに関係しない乳がんのみ
 2014年12月9日から13日にかけて開催されたサンアントニオ乳がんシンポジウム2014で報告されたものだ。「女性の介入栄養研究(WINS)」と呼ばれる研究の報告だ。

 初期の乳がん患者に対して、乳がんの診断から5年間、食事で取る脂肪を減らしてもらうという研究だ。

 対象としたのは、初期乳がんで米国の39の医療機関で標準的な治療を受けている48歳から79歳の女性2400人。15年後、女性ホルモンに関係しない乳がんの場合、死亡率は低下した。具体的には、死亡率は死亡を減らしたグループと脂肪を特に減らさないグループで全体では差はないものの、エストロゲン受容体が陰性の乳がんの女性の場合、脂肪を減らしたグループで死亡率が36%減っていた。

 エストロゲン受容体陰性乳がんとプロゲステロン受容体陰性乳がんを両方持つ女性の場合は、56%も減っていた。

既存治療が難しい人こそ利益
 今回の研究では、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)の評価は行われていない。エストロゲン受容体陰性乳がんとプロゲステロン受容体陰性乳がんに該当する人は、ヒト上皮成長因子受容体2も陰性であることが多い。一般的に「トリプルネガティブ」と呼ばれる人で、治療が難しいと知られている。

 この3つの条件に当てはまる人にとっては、脂肪を減らすと生存率が上がる可能性があるというのは朗報に違いない。



引用元:
薬が効きにくい乳がんに朗報!脂肪減らすと死亡半減も「トリプルネガティブ」こそ有効か(Medエッジ‎)